Ableton Liveでのボイスリーディング: MIDIコード進行をもっと自然に聴かせる
Ableton Liveでコード進行をなめらかに聴かせるための、プロデューサー向けボイスリーディング入門。ポップスや電子音楽のMIDI編集にすぐ使える実践的な考え方。
コード進行がいまいちに聴こえる原因は、コードそのものではないことが多い。問題はたいてい、そのコードから次のコードへどう動いているかにある。
だから、MIDIコードパックは並べ始めた途端に急に使いにくくなることがある。音があちこち飛ぶ。ベースが濁る。トップノートが変な方向へ行く。全体として、どうもなめらかに聴こえない。
それはだいたい、声部連結の問題だ。
声部連結、つまりvoice leadingは、あるコードの各音が次のコードの各音へどう進むかを考えることだ。クラシックの理論ではかなり厳密な話になりやすい。でもポップス、ハウス、テクノ、シンセウェーブ、R&B、あるいはコンピューター上で作る多くの音楽では、もっと実用的に考えればいい。ひとつひとつの音の動きが、意図を持っていて自然に聴こえるかどうかだ。
CメジャーからAマイナーへ進むコードは、たとえばこう書ける。
| 声部 | C major | 動き | A minor |
|---|---|---|---|
| 上声 | G | 下行 | E |
| 中声 | E | 下行 | C |
| バス | C | 下行 | A |
紙の上ではこれで問題ない。ただ、毎回すべてのコードを基本形で置くと、音が必要以上に跳びやすい。共通音を近くに残すと、もっとなめらかになる。
| 声部 | C major | 動き | A minor |
|---|---|---|---|
| 上声 | G | 1音上行 | A |
| 中声 | E | 保持 | E |
| バス | C | 保持 | C |
和声は同じでも、動きは違う。2つ目のほうがつながって聴こえるのは、2つの音がそのまま残り、1つの音だけが動いているからだ。基本はこれだけ。ボイスリーディングは、音を大量に足して複雑にする話ではない。たいていは、少ない音でうまくやる話だ。
MIDIコード進行が硬く聴こえる理由
MIDIパックは、この問題を悪化させることがある。進行そのものは悪くなくても、コードが汎用的な形で書き出されていることが多い。基本形の三和音、固定されたボイシング、ひとつひとつ切り離されたコードの塊。
それをそのままトラックに置くと、コード間の動きが急に不器用に聴こえる。
コードプラグインにも同じ問題がある。1つのキーでコードを鳴らせるのは便利だが、多くの場合、それぞれのコードを別々の世界として扱う。ある鍵盤を押すとこのコード。別の鍵盤を押すと別のコード。プラグインはコード名を知っていても、その音が次のコードへどう進むかまでは見ていないことがある。
そこは重要だ。リスナーは「声部連結」という言葉を知らなくても、音の動きは聴いている。悪いボイスリーディングの進行は、跳ねすぎたり、安っぽく聴こえたり、妙に切り離されて聴こえたりする。良いボイスリーディングなら、かなり普通のコードでも上品に聴こえる。
転回形は理論の宿題ではない
最初に使える実践的な道具は、転回形だ。コードのルートを一番下に置く代わりに、別の構成音をバスに置いたり、上の音の並びを変えたりする。
Cメジャーならこうなる。
| 形 | 音 |
|---|---|
| 基本形 | C E G |
| 第1転回形 | E G C |
| 第2転回形 | G C E |
ポップスやEDMの制作では、転回形は音の動きを最短距離に近づけるために便利だ。最初のコードの上のほうにEとGがあるなら、次のコードでもその音を使えるかもしれない。わざわざ遠くへ跳ばす必要はない。
これはパッド、プラック、ピアノレイヤー、ボーカルの後ろに置くハーモニーで特に効く。上声がなめらかだとスペースが残る。コードが変わるたびに、トップラインから注意を奪わない。
ただ、転回形には落とし穴もある。バス音まで自由に動かしすぎると、和声の土台が曖昧になる。Cmaj7/Eのような分数コードは美しいこともある。でも、ベースラインがCを強く打つべき場面では違うかもしれない。
ダンスミュージックでは、ベース自体がフックの一部になっていることが多い。ルートの動きを弱めてまで、常に一番なめらかな転回形を選ぶ必要はない。
プロデューサー向けに言うなら、ルールはシンプルだ。中声と上声では転回形を自由に使う。バスを転回させるときは、もう少し意識的にやる。
ローエンドを詰めすぎない
コードをアマチュアっぽく聴かせる一番早い方法のひとつは、低い音域に音を詰め込みすぎることだ。
低域にはスペースが必要だ。ダンスミュージックでは特にそう。C2やD2あたりで密集したコードを鳴らすと、ベースライン、キック、持続系のパッドが加わった瞬間に濁りやすい。理論上は正しい音でも、物理は忖度してくれない。
習慣にするといいのはこのあたり。
- 重さが必要ならバス音は低く置く
- 残りのコードトーンは上に逃がす
- 低い音域ほど間隔を広くする
- 密集したクラスターは中域から上で使う
たとえば、全部を低いところに詰める代わりに、バス音に少し呼吸をさせる。
| 詰まった低域のボイシング | 広げたボイシング |
|---|---|
| C2 | C2 |
| E2 | G3 |
| G2 | B3 |
| B2 | E4 |
右のボイシングがどんな文脈でも正解というわけではない。ただ、低域がスープになるのを避けやすく、コード全体の胴体もきれいに出やすい。
固定されたコードパックが扱いにくい理由のひとつはここにある。あるオクターブではリッチに聴こえるボイシングも、数半音下げたりサブベースと重ねたりすると、一気に泥になる。ボイスリーディングはコード間のなめらかさだけではない。音域の話でもある。
トップボイスを聴く
多くの電子音楽では、コードの一番上の音が、ほとんど小さなメロディのように振る舞う。リードではなくても、進行の印象をかなり作っている。
トップノートがあちこち跳びすぎると、コード自体はシンプルでも素人っぽく聴こえることがある。もちろん、それが欲しい場面もある。でもパッドや支えるためのハーモニーでは、たいてい邪魔になる。
手でコードを編集するときは、これを試すといい。
- 各コードの一番高い音を見る。
- そのトップノートだけを再生する。
- それが人間の書いたラインに聴こえるか考える。
- ランダムに聴こえるなら直す。
音を1オクターブ下げる。別の転回形を試す。共通音はそのまま残す。ある声部は順次進行で動かし、別の声部は保持する。
地味な作業だが、地味な作業ほど効く。
Ableton Liveではどう扱うか
もちろん、こういう作業はAbleton Liveで全部手作業でもできる。昔からみんなそうしてきた。MIDIクリップを開き、ノートを選び、転回形を動かし、トップボイスを確認し、低い音を広げ、進行がちゃんと振る舞うまで再生し直す。
4コードのループなら、それで十分だ。
ただ、進行が長くなったり、アイデアを素早く試したいセッションだったりすると、すぐに面倒になる。1つコードを変えたら、次の2つも調整が必要になる。進行全体をトランスポーズしたら、低域が詰まる。MIDIパックから新しいアイデアを作ったら、その進行が曲に合うか判断する前に、音の動きを10分直すことになる。
面倒なのはそこだ。ボイスリーディングは概念として難しいわけではない。ただ、細かくて時間がかかる。
Harmonybeamが役に立つところ
Harmonybeamは、この問題をかなり意識して作った。プロデューサーは、コード進行を素早く試したり変えたりしたい。でもMIDIクリップに入ったときには、ちゃんと音楽として整っていてほしい。
Harmonybeamではコードシンボルを入力すると、MIDIクリップがすぐ更新される。この話で特に重要なのは、Auto Voice Leading機能だ。
Auto Voice Leadingを有効にすると、Harmonybeamがコードを自動でリボイシングし、移り変わりをなめらかにする。アルゴリズムは進行全体の音域と、アンカーとして選んだコードのボイシングスタイルを見ている。
つまり、結果を任せきりにしなくていい。最初のコードを広めにしたいなら、それを文脈として使える。メロディを支えるために特定のコードだけ決まったボイシングにしたいなら、そこは上書きできる。
Bass Inversionsというオプションもある。有効にすると、Auto Voice Leadingはバス音が変わる転回形も使えるようになる。Cmaj7/Eのような分数コードとして表示される。タイトなボイシングでは特になめらかになりやすい。ただ、オプションになっているのには理由がある。ベースはもっと無骨で分かりやすく残したいこともある。ダンスミュージックは対位法の試験ではない。
便利なのは、Harmonybeamが最初の整理をやってくれることだ。進行は最初からある程度自然に動く。そこから好みで判断できる。コードを変えるたび、新しいアイデアを試すたびに、ゼロから掃除しなくていい。
実用的なワークフロー
Ableton LiveでHarmonybeamを使うなら、こんな流れで考えるといい。
- まず好きなコード進行から始める。HarmonybeamならPop、EDM、Jazzなどのジャンルで進行を生成することもできる。
- 最初のコードのボイシングスタイルを選ぶ。Closed、Open、Splitなど、パートに合うものを選べばいい。
- Auto Voice Leadingをオンにする。あるいは手動で転回形を調整して、コード同士をつなげる。
- ベースを確認する。
- トップボイスを確認し、欲しい動きになっているか聴く。
- 最後は必ずトラック全体で判断する。
最後が大事だ。ソロで美しいボイシングも、ベース、ボーカル、ドラム、リードが入ると濃すぎることがある。ポップスやEDMでは、ハーモニーには役割がある。フックを支える。色をつける。もっと重要なものが鳴っているときは邪魔しない。
良いボイスリーディングはそこを助ける。大きな跳躍でリスナーの注意を奪わずに、コードを自然につなげてくれる。
大事なのは流れ
ボイスリーディングという言葉は少し学術的に聞こえる。でも制作では、ほとんど「流れ」の話だ。音が自然に動いているか。低域がきれいか。トップボイスが曲を支えているか、それとも邪魔しているか。進行がひとつのアイデアとして聴こえるか、それとも4つのコードブロックを並べただけに聴こえるか。
全部手で直すこともできる。むしろ、アイデアが固まって細かく追い込みたいときはそうするべきだ。ただ、普段の作曲、アレンジ、スケッチでは、機械的で退屈な部分を先にツールにやらせるほうが早い。
自動ボイスリーディングの一番いい使い方はそこだ。Harmonybeamなら、耳で判断する段階まで早く行ける。
HarmonybeamがAbleton Liveでのコード進行作りをどう助けるのか、もう少し詳しく見てみる。
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